松風 14

松風 第一四回 

 ブラックホールの湯気

  

              北野健治

 「それは、夢」と彼女は言った。

 「それは、嘘」と彼が言った。

 それは、赤でもなく、白でもない。

 真夏の熱いコーヒーは、ブラックホール。

 心も体も溶けていく。

 色のない音だけが、

 湯気とともに立ち上がる。

 2025年7月8日 

               (つづく)

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