松風 25

松風 第二五回 

 問わず語りの金木犀

  

              北野健治

 深海の真珠に似たり闇の月

 街中に一筆書きのコースター

 花びらの濃淡に期すわが想い

 入り日見る視線の果ての網膜か

 街眠る遠景に燃ゆ赫いビル

 秋のない年にも咲くかふじばかま

 築中のクレーンの先で月を撃つ

 蒼い宵問わず語りの二人連れ

 住宅地いのちのあわいに鷺の群れ

 振り向けばあなたはいない金木犀

 2025年11月11日 

               (つづく)

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